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夏が来た。

空が広くなった、気がした。見上げていると吸い込まれそうな気がして、ふと怖くなってあわてて目をそらす。

湿気を含んだ熱い空気は肌に少し重いけれど、まとって歩く足取りは軽く、ノースリーブの裾が透けて涼しげ。

蝉が寝静まったふんわりと明るい夜は、しっとりと穏やかで、どことなく、淋しい。あれほど賑やかだった音が全て、昼間の熱とともに何処かへ行ってしまうから。

闇に閉ざされた部屋は、昼間の熱を未だ留めているけれど、そこには賑やかさなど微塵もなく、ただむせ返るような湿気が満ちているだけ。あたしは黙ってクーラーをつけて、汗ばんだ服を脱ぎ捨て、全てを洗い流して布団にもぐる。

短いはずの夜は、寝苦しさ故にとめどない考え事で埋まってゆく。

 「夏の夜、布団の中で」 06.07.31