春のような恋をした。それはゆっくりと足音を忍ばせて、つぼみが開くような優雅さで、私のまわりを彩っていった。

梅雨の雨のような君の優しさは、すべてを洗い流すようにしっとりと染み渡る。にわか雨でも、土砂降りでもなく、長く静かに降る雨になら、濡れるのも悪くないと知った。

そして私は向日葵になった。いつだって視線の先には君が居て。

気づけば秋の夜のように物思い。何気ない風景が、つけっぱなしのTVが、かすかに聞こえるBGMが、すべて君に繋がってゆく。取り留めのない思いを胸に今日も長い夜を過ごす。

冬の寒さを口実に少しでも君に近づけたなら、そのときは。

でも今は、全てを溶かすような季節が始まったばかり。大げさに風に揺られて気づいてもらえやしないかと願う、太陽の下、太陽のような花。

 「四季」 06.06.26