なんともいえない不安が突然襲う、雨の降る夜。あたしは部屋に一人で、散らかった部屋にはさっき塗ったマニキュアの匂い。色とりどりの小さな瓶が転がっている。

なんだか、ひとりだ。

TVから聞こえる乾いた笑い声は耳障りだったから、電源を落としてステレオの音量を上げた。誰のためともつかない歌を聴きながら、無意識にため息を繰り返す。どれだけの幸せが逃げていっただろうか。

窓の外は雨。外の世界から切り離されたようなこの部屋で、鳴らない携帯電話と、鳴りっぱなしのステレオと、いつまでも残るマニキュアの匂いと、抜け殻のようなあたし。

 「雨の内側」 06.05.10