栄華を極めた桜も散り、鯉が泳ぐようになったけだるい空の下、草むらに寝転がって夢を見た。隣に君が居て、あたしはその笑顔を見ていた。

幸せな、夢。

君の視線の先ではいつもあの子が笑っているのを、あたしは知っている。それを見ていつも胸が痛むくせに、それでもあたしはつい君の姿を探してしまう。

かみさま。こっちを向いてほしいと、そう願うことは罪ですか。君の視線の先のあの子も、君の姿を探していることを知ってしまった今は。

太陽に焦がれるひまわりのようだと自嘲する。でもあたしはあんなに明るく笑えなくて、せめてたんぽぽのように健気に咲いていられたら。そうすればいつか空に、太陽のある空に、飛び立てるかもしれないのに。

 「たんぽぽ」 06.05.07